子どもは生まれた直後から、それぞれの文化や社会のなかでふさわしい行動がとれる大人になるよう社会化されていく。しかしその社会化の内容は文化や社会によって異なる。どの程度の知識が必要か、どのような行動が賞賛されるのか、どう他者とつき合っていけばよいかなど、価値観や行動の基準、そして個人に与えられる発達期待の内容は、文化や社会によって異なっており、ある社会では肯定的に捉えられていることが、別の社会では否定的に捉えられることもある。しかし異文化間移動を経験したことがなかったり、異文化間移動をした人を受け入れた経験がなかったりしければ、文化によって異なる社会化の内容や、文化の意味体系の違いに気づくこともないかもしれない。また異なる文化間で葛藤を起こすこともないだろう。だが日本でも、海外在留邦人数は年々増え続けており、長期滞在者と永住者を含めると現在約100万人となっている(外務省、2005)。一方、地域的な偏りはあるものの、近年日本では外国籍の人々が長期にわたって居住するようになった。日本の保育・教育現場でも、外国籍の子どもの数は増える傾向にある。さらに国際結婚の増加により、子どもは日本国籍であったとしても親のどちらかが外国籍であるという子どもも多くみられるようになった。その結果、異文化間移動を自ら経験していない子どもであっても、日本ではもはや乳幼児期から異文化接触なしには暮らせない社会になりつつある。このような社会の実態を前提として、教育や保育の内容や方法を考えなければならない時代がやってきたといえるだろう。
[参考サイト]
保育士の資格
http://www.seitoku.jp/kttcsu/