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全部読むのは、効率の悪い方法

コツコツと時間をかけて一〇〇%を獲得するのは、まったく有効ではないのである。これをよく考えると、わずか二〇%のコストで八〇%を得られるということは、「それでも一〇〇%の機能が欲しい」と思った場合に、残りの二〇%を得るのに、八〇%のコストが必要になることを意味している。一〇〇%の機能を引き出すために一〇〇%のコストをかけている人たちは、それだけの代償を払っていたのである。このもっとも効率の悪い「残りの二〇%も欲しい」という姿勢は、確かに優良さを求めるものかもしれない。だが、それはわたしたちにとっては最良ではない。二〇の機能を得るのに八〇のコストをかけたら効率は四分の一になってしまう。二八の法則で二〇のコストで八〇の機能を得た場合は、その一六倍も効率がいいのだ。システムでは「最適化」が重要になる。すべての機能を備えた複雑なシステムよりも、目的にかなった機能を備えた使いやすいシステムのほうが効率はいい。アップルのIPodの大ヒットはまさにその象徴と言えるだろう。ムダな機能やスイッチまでもそぎ落とし、シンプルで使いやすくしたその装置は、主に音楽を聴く以外にはあまり役に立たないし、パソコンがないとその機能さえ満足に使えない。それでも世界中で利用されている。最適化こそ、わたしたちが目指すものだ。わたしたちは時間がないのだから、いちばん効率のよい方法で本を読むべきだし、それには、時間がたっぷりかかるのに価値が低い「優良」を狙うのではなく、自分の目的にだけ一致させた「最良」を狙うことだろう。つまり、「本はやっぱりはじめから終わりまで全部読んでみないとわからない」という発想そのものが、問違いなのである。もしそうなら、あなたにとっての目的が明確ではないままに、これまで漫然と本を読んでいたことになるだろう。いや、「全部読む」ことが目的になってしまっていたのかもしれない。この情報過多のIT時代の中で、多忙で時間のない人には、これはまったく矛盾した考えだ。情報量の少ない明治時代までは、すべての本ははじめから終わりまで全部熟読することが常識だったかもしれない。しかし、IT情報時代のいまは、新聞、テレビ、インターネットなどさまざまなマルチメディア情報が入ってきている。だから、すべての本について、はじめから終わりまで全部読むのは、効率の悪い方法となっているのだ。
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